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その他(入管法の改正と、外国人材の活用)

1 入管法の改正とその背景

2020年4月から、「特定技能」という新たな在留資格を創設され、外国人材の受入れが大幅に拡大しました。長年、いわゆる単純労働の分野については、限定的にのみ認められていましたが、この度の改正で、真正面から、在留資格の一つとして、認められることになりました。
その背景は、日本国内での人手不足です。政府は、業種別の人手不足状況を分析しており、この分析をもとに、5年間の外国人材の最大受入数を決定しています。向こう5年間で、34万5150人が見込まれています。
外国人労働者の数は、直近2年では毎年約20万人以上増加しており、2018年には146万人となっていました。このうち、「技能実習」は、約30万人でした。
今回創設された「特定技能」は、実質的には、「技能実習」のいわば「延長」のような利用形態になるという指摘がされています。
では、詳しく、「特定技能」の制度について、見ていきましょう。

2 「特定技能」の産業分野と受入予定人数

最初に、どのような産業分野において在留資格が認められるのか、そして、各産業分野での受入れ見込み数を見てみましょう。

分野 受入見込数(5年間での最大)
介護 60,000人
ビルクリーニング 37,000人
素形材産業 21,500人
産業用機械製造業 5,250人
電気・電子情報関連産業 4,700人
建設業 40,000人
造船・舶用工業 13,000人
自動車整備業 7,000人
航空業 2,200人
10 宿泊業 22,000人
11 農業 36,500人
12 漁業 9,000人
13 飲食料品製造業 34,000人
14 外食業 53,000人

このように、産業分野は14業種、総計で最大34万人程度となる見込みです。

3 「特定技能」の種類

「特定技能」には、2種類あります。「特定技能1号」と「特定技能2号」です。このうち、レベルの高い「特定技能2号」は、当面受入れをしない方針となっており、業種も「建設」「造船・舶用工業」の2つの産業分野に限定されています。
実は、この「特定技能2号」こそが、マスコミで騒がれた「事実上の移民」につながるという指摘がなされている制度です。家族の帯同が認められ、また、「永住者」の資格取得のための在留期間が算定に影響がありえるという指摘が専門家からされています。当面は、この「特定技能2号」は、受入れをしないということですが、制度として誕生した以上、大きな流れとしては、外国人材の定着化を図る方向に向かうのではないかと筆者は感じています。

4 「特定技能」の資格取得

以下は、「特定技能1号」の資格取得について、説明します。
資格取得のためには、①技術水準と、②日本語能力水準の双方が求められます。①技術水準については、例えば、介護であれば、「介護技能評価試験」、②日本語能力については、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」に加え、「介護日本語評価試験」の合格が基準となります(詳細については、厚生労働省や出入国在留管理庁のホームページ等をご確認ください)。
もっとも、「技能実習2号」の修了者は、無試験で、「特定技能1号」に移行できることになっています。技能実習を3年以上勤めてきたことで、技術や日本語能力が一定程度は習得できている、というのが無試験の理由です。
この無試験の制度のため、下記5のように、産業分野によっては、「技能実習2号」からの「移行先」のような位置づけになっているという見方ができます。

5 雇用企業に要求される「支援」や条件

実際に「特定技能」の在留資格の従業員を雇用する場合、雇用する企業は、その従業員を支援する義務があります。具体的な内容についても省令で詳細に規定されています。
なお、その支援の実施を、「登録支援機関」に契約により委託することは認められています。おそらく、中小企業においては、登録支援機関への委託が主流になっていくのではないかと予想されます。
また、雇用する企業には、所轄官庁の協議会に参加し、指導に従うこと等の条件が課されます。

6 「特定技能」と「技能実習」との関係

従来からある「技能実習」との関係は、どうなるのでしょうか。これは、産業分野によって様々になると予想されています。
「介護」では、「技能実習」で要求される日本語能力が高いため、最初から「特定技能1号」を狙うルートが一般化すると予想されています。また、「外食業」は、そもそも「技能実習」の対象となっていないため、今後も、直接「特定技能」を取得するルートしかありません。
これに対し、これら以外の業種、特に「素形材産業」「産業機械製造業」「農業」については、ほぼ100%が、「技能実習2号」からの移行組になると予想されています。このような業種においては、「特定技能」は、「技能実習2号」の移行先であるという見方ができます。

7 実務における影響―中長期的視野にたった人材育成・人材活用

企業が外国人材の受入れを検討する場合、業種にもよりますが、「技能実習」の5年間と「特定技能1号」の5年間の、合わせて10年間という広いスパンで、人材育成・人材活用を考えることができるようになると予想されます。さらに、今後、制度が整備される「特定技能2号」を含めますと、15年となります。
18歳で採用したとして33歳までという、職業人生における花形の中核期を、日本企業で過ごされることになります。
そのような意味で、中長期、場合によっては終身雇用となることも想定して、外国人材の採用を検討される企業が増えることになると予想されます。

8 弁護士の活用方法

(1)労働法規のリーガルチェック、ヒューマン・リソースの戦略アドバイス

コンプライアンスが強く求められるため、手続面の問題から人事戦略全体について、法律上のアドバイスを受けることが、トラブル予防や円滑な事業展開につながります。

(2)従業員への説明の補助

特定技能の従業員さんは、日本語がネイティブではないため、同僚や先輩、経営者層との深いコミュニケーションが容易とは必ずしもいえません。文化の壁から、日本企業の特質になじめないことや、中小企業の特徴あるポリシーなどが伝わらず、不安を抱えてしまうことも十分に考えられます。率直な意見交換が大切ですが、中には、法律面での説明やフォローが必要になることがあります。そのような場合、従業員への説明の補助を日本人弁護士がお引き受けすることができます。法的な説明にとどまらず、文化的な背景の違いを踏まえて、より相互信頼の深まる効果的なコミュニケーションを図るよう努めます。

(3)契約書の作成・レビュー、関係機関とのコーディネート

関係者が多くなり、外国が関係するため、慎重に契約書をチェックする必要があります。また、従業員向けの「同意書」や「説明文書」の作成など、御社の実情に合わせた書式を、日本人弁護士が作成いたします。
また、支援機関や行政庁など関係機関への報告、交渉などにおいて、弁護士が、御社の立場を踏まえて準備し、説明への同席、代理人としての交渉をお引き受けすることができます。
外国人材に詳しい弁護士が、御社の人材活用を強力にサポートいたします。

 

 

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